POXIE Trail

#1 私のVRChatアバター観
Last update: 2025-FEB-12

私はご存知の通り基本的にVRChatでは自作アバターを使って過ごしているのですが、ふと最近色々なことを実験してから、私のアバターについてはかなり特殊な感覚があるのではないかと感じるようになりました。

そのきっかけは、Standable: Full Body EstimationとPICO Motion Trackerを使うようになり、下半身の表現が増えたことでした。

私のアバターって、そんなにキャラクター性がない?

最近常用しているアバターはカサネと名付けた、オリジナルキャラクター・オリジナルアバターです。数年前からコンセプト自体は大きく変わらずいろんなところで使い続けているアバターで、最近はメディア各所のアイコンとしても用いられています。

誕生日の数秒前の遺影

彼女は私の好みのアイコンをしっかりと取り入れてキャラクター性を作ったと思っていたのですが、ふと市販アバターやそのサンプルを着てみると、明らかに着心地が違うのです。

VRChat人生の最初期は二次創作アバターを使用していたのですが(前述の記事で紹介済み)、これは最終的に自分のアイデンティティを持たせるのに不都合であるという点からオリジナルアバターへと方向性をシフトしていきました。

そのため、私はVRChatを自作デザイン、自作アバターを使ってほとんどの時間を過ごしています。

ところがここに、一つ大きな落とし穴がありました。私のアバターに、人格がないのです。意図的にそうしたとはいえ、人格がないことは、私の身体と、精神と、カサネというアバターのすべてがシームレスに繋がっていて、VRChatでのみ発露されるアイデンティティが存在しないことであり、せっかくかわいらしいキャラクターを手に入れたとしてもほとんど「かわいらしく」演じることがないのです。

これはカサネちゃんに持たせている表現の幅が狭いことにも関係はあるかもしれません……技術的にも、時間的にも、制約は多いですから。

いや、全然それでも構わないのですが。せっかく足が生えて、カサネちゃんのデザインもどんどんブラッシュアップされてきたのであれば、それはもう少しよい表現技法を持ってして美しく、かわいくあの世界で生きたくはないですか?

好みのアバターって、じゃあどういうことなのよ

薄荷(サンプル)。
PICO Motion Trackerを手に入れた直後の写真。

シミュクララ(数少ない購入アバター)。
改変後のすがた。

これに気がついたのは、私がイサナイ・ヌクちゃんのサンプルアバターを着てフレンドに「甘えだした」瞬間でした。

小さな身長で、両手を高く持ち上げて、だっこだっこ、と言わんばかりの動きを、ごく自然に行った自分にひどく驚いたものです。

そもそも私は「着心地」という意味では、手が隠れているアバターは全然合わないしうまく扱えない、というところまではよく分かっていました。手がないと、どうしても指先の位置がわからず、ペンを握るときも難しいのです。

しかし、それ以上のなにかがそこにはあったのです。

例えば、先のイサナイ・ヌクちゃんでは、想定されるキャラクター性が感じられるのです。雰囲気としては、おそらく元気で、幼く、幼さゆえの若干の暴力性をもち、素直。そういった感覚が、アバターを着ていると私の動きに染み付くのです。

一方、カサネちゃんではそこにそういった感覚が感じられない。そこにあるのは素の私であり、感覚を上書きするに十分ななにかがないのです。

これは人とオフラインで会ったとき、私の立ち居振る舞いや話し方などから、リアルの私の存在とアバターを纏った私という、ふたりを同じように地続きに感じてくれたりするという利点(?)があるのはそうなのですが、もう少し面白みのある振る舞い方ができれば……そうも感じたのです。

このことに気がついたとき、私は本気でもっと他のアバターを着て私の振る舞いを観察したいと思ったのです。

例えば、最近でいえばみみのこちゃんはかなり暴力的な文化と二次創作で盛り上がっていることはご存知のとおりでしょう。また、真冬 Mafuyuちゃんは公式で頒布されているLINEスタンプ酒癖が悪く、煙草も吸うことが示唆されています。これらの設定をもとにしたファンアートも数多く、私はそうした文化にもなかなか興味を惹かれるのです。薄荷ちゃんとトラスちゃんは、作者が違うにも関わらず公式でコラボをしたこともあり、「ヘケトラ」というカップリングでも親しまれています。

アバターを、演じる

avatar - Wiktionary, the free dictionary

  • The embodiment of an idea or concept; an instantiation, especially a personification or incarnation.
  • (Internet, video games) A complex and dynamic digital representation of a person or being in the form of a digital model, used online as a simulation or emulation of a person, or as a person's online alter ego, in a virtual world, virtual chat room, or metaverse.
  • (Internet, video games) A simple and static or nearly static digital representation of a person or being in the form of a small digital object, used online as a simulacrum or token of a person or that person's online alter ego, in any digital environment but especially in nonvirtual, nonmetaversal ones.

原義に従えば、「アイデアの具体化、擬人化、人格化」と呼べるのではないでしょうか。現状のアバターという言葉の意味合いは皆さんご存知のとおりですが、アバターは、存在しない概念をこの世界にレンダリングしたものであり、そこに人の想いが強く込められているのは確かでしょう。

その想いを自分の体に溶け込ませれば、この世界では私はより「楽しく」動けるのではないだろうか、と。とはいえ、私は自作のキャラクターを使うことに誇りを持っているし、これからも使い続けていきたいです。

だからこそ、私はキャラクターデザインや、アバターデザインにすこしずつ本気を出して、より「演じる」ことが楽しいアバターを作りたいと切に感じているのです。

この世界でくらい、わるいこになってみたいじゃないですか。